



無痛分娩を検討している人にとって、気になるのは「痛みがどのくらいなくなるのか」でしょう。2025年には、東京都で対象医療機関での無痛分娩が無償化(10万円までの費用助成)されます※。
これまで費用面で自然分娩一択だった人が無痛分娩を検討するときの検討材料が増えるよう、個人の感想ですが無痛分娩の痛みについてレポートしていきます。



記事内でも触れていますが、
①完全無痛方針のクリニックで
②経産婦が
③自然無痛分娩(陣痛が来てからの無痛分娩)をした
レポになります。
個々人で状況は異なりますので、
あくまでも参考の一つとして読んでいただけますと幸いです。
出産履歴


はじめに、今回は筆者の体験を基にしたレポ記事になります。そのため、個人的な話になりますが、まず出産の履歴を記します。
・第一子:男児 38週6日、自然分娩(15時間)
・第二子:女児 39週6日、無痛分娩(6時間)



ちなみに、第二子は計画無痛分娩の予定でしたが、
予定日前に陣痛がきたため自然無痛分娩で出産しました。


無痛分娩の痛みは?


最初の断りとして、本記事の内容は筆者の個人的な感想になります。出産は一つとして同じものはなく、痛みの感じ方も人それぞれです。
以下は枠内の条件で無痛分娩を行った際の感想になります。
【筆者の状況】
・陣痛がきてから無痛の麻酔(硬膜外麻酔)を開始
・子宮口2㎝スタート
・バルーンなし
・経産婦
・痛みには割と鈍感な方



初産婦さんで計画無痛分娩の方などは、
私とは全く異なる状況ですので
同じ状況の方のレポも別に見た方が良いと思います!


痛いときもあった
無痛分娩が痛かったかどうかについて、「麻酔を少しずつ入れていた段階では普通に痛かった」のが感想です。



最初に痛かったのは、
陣痛が来てから無痛分娩の処置を開始したためです。
計画無痛分娩なら、陣痛が来る前に産むこともできます。
麻酔を入れ始めたのは陣痛間隔が10分ほどのときからです。最初に麻酔科医の先生に背中へカテーテルを入れてもらった後に麻酔を入れ始めました。
麻酔の量は助産師さん(看護師さんだったかもしれません)の判断で入れてもらいました。数回に分けて様子を見ながら入れていく旨の説明は受けましたよ。
(余談)背中へカテーテルを入れるのは痛かった?
無痛分娩といえば「背中にくだを入れる」のが印象的な人もいるのではないでしょうか。ほとんどの人が体験したことのない処置かと思いますが、点滴のルートをとる際に痛みは感じるのでしょうか?



個人の感想ですが、私は全く痛くなかったです。
麻酔科医の先生がベテランの方で、針を刺す箇所を事前に触り、管を通す際にどのような痛みがどのくらいの間あるのかを説明してくれました。背中に管が通るのには確かに違和感を抱きましたが、痛みはありませんでしたよ。
予想外も…



一方で、予想外に痛かったのは腕の点滴です
左腕の肘の内側辺りの静脈(尺側皮静脈辺り)に点滴をしたのですが、思った以上に長く刺さった状態でした。日付が変わるころの出産だったため、翌昼前くらいまで点滴筒(チャンバー)と針が刺さったままでした。
無痛分娩の麻酔が効いている範囲ではなかったため、分娩中もズキズキ痛み、翌昼に抜いたころには青くあざのようになっていました。
素人であり、これが体質的なものなのかや、痛みを訴えれば早めに外してもらえたのかなどは分かりません。


痛みのピークはどこだった?



陣痛間隔が10分から5分になるくらいまでが、
普通に痛かったです。
※あくまでも「陣痛後に無痛分娩の麻酔を入れ始めた」前提の話です。
私は最初、無痛分娩の麻酔が、入れ始めた後どのくらいの早さでどの程度効くのか分かりませんでした。
そのため、麻酔の追加を聞いてみるのも遠慮してしまい、自然分娩とあまり変わらないような痛みがありました。(体感自然分娩の痛みの8割くらい)
陣痛が来たときは痛くて話せず、分娩台のバーを強く握って目を閉じてやり過ごしていましたが、痛みで涙が出てきました。


麻酔の追加をお願いして良かったらしい
痛みに耐えかねてナースコールを押して、助産師さんに「痛いです」と言うと「麻酔を追加する?」と聞かれました?
「いいんですか?」と驚くと、「うちは完全無痛を目指しているので、痛みが全くない状態でのお産を体験できたらしてもらいたい」と言われました。
このときの陣痛間隔が5分でしたが麻酔の追加をしてもらい、結果痛みは全く感じなくなりました。



産院によって、
和痛(痛みを和らげる程度で多少感じるくらいに留める)
方針のところもあると思います。
担当の助産師さんや先生へ相談してみてくださいね。
なお、麻酔の追加のデメリットも感じたので、別の記事で紹介します(記事ができ次第リンクで飛べるようにしますね)。


無痛分娩、産む直前はやっぱり痛いの?


一般的に、お産が進むと、赤ちゃんの出てくる「子宮口(しきゅうこう)」が開いていきます。そして、この開き具合が大きくなるにつれて痛みも増していき、赤ちゃんが出てくる直前は泣き叫ぶ人もいるほどです。
無痛分娩で麻酔をしっかり入れると、痛みはどうなったのでしょうか。
麻酔を追加して文字通りの「無痛」に
私は陣痛間隔5分、子宮口3㎝ほどのタイミングで、痛みに耐えきれずに麻酔の追加をお願いしました。



そこからは下半身に感覚がなくなり、
痛みもほとんど感じなくなりましたよ。
ちょうどこのタイミングから、「赤ちゃんに酸素を送り※、スムーズにおりてくる助けになるように辛くなければ座りましょう」と言われ、分娩台へ足を伸ばしたままL字のように座る体勢になりました。
このとき、足には感覚がなく、陣痛がきたときにうっすら下腹部が絞られるような違和感を抱くくらいになっていました。
人によっては、生理痛よりも痛くないくらいです。先ほどの痛みが嘘のように和らぎました。
※出典:座位分娩(ざいぶんべん) – 京都の産婦人科(無痛分娩)・不妊治療は身原病院 –


子宮口全開時、痛みがなさすぎてびっくり
座位分娩に切り替えてから、経産婦だったこともありお産はどんどん進みました。



2時間ほどで子宮口全開になったと思いますが、
NST(分娩監視装置)の波形を見て
「こんな感覚で陣痛が来ているんだ」
と自分で驚くほど
全く痛みがありませんでした。
痛みがなくていきめるの?
子宮口全開時のいきむタイミングは、助産師さんの声がけに従いました。



このとき、全く痛みがなかったため、
いきむイメージとしては
「風船ふくらまそうと1点に息を極限まで吐く」
感じが近かったです。
風船をふくらませるときに、特に痛みは感じませんよね。
吐く前にもう無理というくらい目一杯息を吸って、合図とともに「フーーーーーーーーッ!」と力を入れながら長く吐ききりました。これが、最後に赤ちゃんを押し出す、推進力となります。
自然分娩時は痛みによって余計な力が入り、産道が狭まったり、会陰が裂けたりしやくなってしまうこともあります。
一方で、無痛分娩は痛みがないため「ヨガで座禅を組んで、意識を集中させて深く呼吸をする」ような落ち着いたいきみ方ができました。



最後のいきみの余裕が
無痛分娩の大きなメリットだと思いました。
痛みがないことで
「赤ちゃん、頑張って出ておいで、もうすぐだよ」
と応援する気持ちで向きあえましたよ。


痛みを和らげる分娩の種類


ここまで無痛分娩のレポートをしてきましたが、痛みを和らげながら分娩する方法としては、無痛分娩の他に和痛分娩もあります。
違いを知って、自分の理想に近い方を考えてみましょう。
和痛分娩と無痛分娩
分娩時の痛みを和らげる分娩方法に和痛分娩と無痛分娩があります。
・和痛分娩:鎮痛剤を用いた筋肉注射※や吸入麻酔薬※2を使って、痛みを耐えられる程度にまで和らげる方法。
・無痛分娩:背骨の硬膜外腔へ管(カテーテル)を入れて麻酔(硬膜外麻酔)することで子宮や産道からの神経をブロックし※3、痛みを軽くする方法
※出典:筋肉注射による和痛分娩について|三田市民病院
※2出典:産科|茅ヶ崎市幸町の産婦人科・婦人科・美容皮膚科|下田産婦人科医院
※3出典:無痛分娩について|子どもと医療
和痛分娩にするメリット
今回の記事は、無痛分娩を検討されている方が見ていることが多いでしょう。



私は和痛分娩を検討することなく無痛分娩にしました。
ただ、以下のような良い点があるようなので引用しますね。
以下引用です(右側のプルダウンで開閉できます。)
和痛分娩
自然分娩時の痛みの緩和や分娩進行をスムーズにする方法です。陣痛が強くなってきてから「傍頚管ブロックと陰部神経ブロック」を行います。子宮口と膣付近の神経だけをブロックするため、その他の部位の筋肉には全く影響がなく、分娩への障害がありません。痛みを抑えることで心身がリラックスします。すると、筋肉の緊張がゆるみ、いきみが伝わりやすくなるため、分娩時間の短縮や産後の早期回復につながります。
無痛分娩と和痛分娩の違いは何?
なぜ違いがあるのか
麻酔薬の量: 無痛分娩では、より多くの量の麻酔薬を使用するため、痛みをほぼ感じなくなることが多いです。
一方、和痛分娩では、痛みを完全に消し去るのではなく、出産の感覚を残しながら痛みを和らげるため、麻酔薬の量は少なめです。
どちらが良いというわけではなく、自分の希望に近い方を選びましょう。



なお、産院によってはどちらかのみ行っているところもあったり、
「和痛分娩と無痛分娩の明確な違いはない」としていたりするところもあります。
自分の考えと合った産院を探すと良いでしょう。


まとめ


今回、第二子出産にあたり、初めて無痛分娩に挑戦してみました。自然分娩と比べて痛みはほとんどなく、命が産まれる瞬間と向き合った尊い時間になりました。
私の2週間ほど後に、辻希美さんも第5子を出産されました。そのときの無痛分娩のレポ動画で、「本当に不思議な感覚」「夢の中にいるみたい」と仰っていましたが、とても共感できました。自然分娩と全く異なる体験でした。
さて、今年(2025年)10月より、東京都では対象医療機関での無痛分娩を無償化(10万円までの費用助成)することになっています。
私は無償化には間に合いませんでしたが、一足早く体験した身として今後も検討しやすくなるように、無痛分娩の記事をいくつかあげていきたいと思っています。







